冬が、きた。





そして、演奏が始まった。


自然と客席から手拍子が出るような、明るい曲ばかり。


楽器を置いて、何人かの演奏者が舞台の上でダンスをしたり、プレゼントをぽーんと客席に投げたり。


とにかく、楽しかった。


最近、ずっと感じていた、胸の重苦しさなんて、すっかり消えてしまって。


最初から最後まで、笑顔が絶えなかった。


そして、あっという間に、最後の曲が終わった。


大きな拍手が沸き起こって、それがアンコールに変わっていく。


もう一度幕が上がって、始まったのは、勢いのあるジャズ曲。


さっきまでとは、また雰囲気が変わって、ノリ良く進んでいく。


すると、慎くんが急に、ステージ前方に歩いてきた。


そして、ふう、と小さく息をし、スッと楽器を構え、艶やかな音でソロを吹き始めた。


「………わあっ…………」


思わず声を上げてしまった。


格好いい………。


そしてソロを吹き終わった慎くんは、客席にお辞儀をして、拍手をしている私にふわりと笑いかけた。




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