冬が、きた。





……震える声を、無理やり絞りだす。


「……だけど、私……慎くんに、何にもしてあげられない。慎くんはいっぱい、私を幸せにしてくれるけど………私には、出来ない。……役立たずだから……」


その瞬間、慎くんの腕が、私を包み込んだ。


慎くんの肩に、ぎゅっと額を押し付けられる。


「なに言ってるの?僕は、役に立つとか立たないとか、そんな理由で雪音を好きになったわけじゃない」


「……うう……だって……」


「雪音がいてくれるだけで良い、って言っても、信じないかもしれないけど。本当に、そうなんだ。……雪音が客席に座ってるのを見ただけで、僕は舞台の上でめちゃくちゃ嬉しくなった」


「……………」


「雪音が辛い思いをしてたのに、自分のことでいっぱいいっぱいになって……安心させてあげられなくて、ごめんね……」


背中を優しく撫でられて、涙がぼろぼろとこぼれる。




< 51 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop