冬が、きた。
次の日、大学にいくと、野々山くんは昨日の笑顔が嘘だったかのような、ぎこちない笑い方で、私と同じくコンサートを見に行った人たちから、「良かったよ」とか、「お疲れさま」とか、そんなことを言われていた。
ああ、私も、同じように言いたい………けど。
勇気が出ない。
その様子を眺めていると、友達が、私に声をかけてきた。
「ねえ、雪音、これから駅前のカフェ行かない?」
「あー、ごめん。レポート終わってないんだ。これから図書館に行かなきゃだめなの」
「ああ、そっか。じゃあ、美保と2人で行ってくるね。君は頑張りたまえ」
「はいはい。行ってらっしゃいませ」
私は野々山くんの横をそそくさと通り過ぎて、図書館へ向かった。