玲瓏
「じゃあ、さっそく。
いきなりだけど、俺たちは人間ではありません。」

ヘラヘラ笑いながら衿哉さんが言った言葉にわたしはただただ驚く。

人間じゃ…ない…。

「んーと…まあ、信じられないかもだけど、ヴァンパイアってやつだよ。」

ヴァンパイア…あの血を吸うっていう…。

「白夜も僕も、あともう一人いるけど。」

もう一人はきっとあのフードの人。

いやいや、待って。
わけわからない…
ヴァンパイアって…どういうこと?

「血を…。」

「うん、吸うよ。
じゃなきゃ生きてけないしね。
あ、でも人間の血は吸わないよ。」

ノリノリで話す衿哉さん。

驚くと同時にホッとした自分がいる。
餌にされるのかと思った…。

って何ヴァンパイアって…?

だって…こんなの…ウソに決まってる…。

「少し、ヴァンパイアについて話すから、きいてて。

まず、ヴァンパイアには二種類いる。
僕たちみたいに、人間は襲わないタイプと、人間を襲うタイプ。
僕たちの仕事は主にそういう人間を襲うタイプのやつらをやっつけることだね。

そして次に、ヴァンパイアには能力があるやつがいる。
能力っていうのは…まあ、特殊な力ってやつかな?
ちなみに僕には記憶を消す能力が、白夜には怪我を治す能力がある。
ここにはいないけど、悠(はるか)にも未来をみる能力がある。

でも、その能力が、君にはきかない…どういうこと?」

「わ、わかりません…。」

頭の中が真っ白…。
能力…わからないよ…。

「痛っ…。」

さっきから姿が見られなかった白夜さんが後ろからいきなり手を掴んでくる。
と、同時にナイフで浅い傷をつけられる。

「白夜っ!
乱暴はやめろよ。」

白夜さんは黙って自分の手のひらを傷の上にのせる。

少しして手のひらを離すも、そこにはまだ傷がある。

「本当にきかないのか…。」

信じられない、と言った表情の白夜さん。

「ごめんね、縷依ちゃん。
白夜のやつが…救急箱持って来るから待ってて。」
< 6 / 9 >

この作品をシェア

pagetop