玲瓏
わたしはリビングに白夜さんと二人きりになってしまう。

「悪かった…。俺の能力は、衿哉が言っていたように傷を治す能力で…手のひらを傷口に当てれば傷が消えるんだ。」

白夜さんはつぶやく。

「いえ…。大丈夫ですから。あの、白夜さん…ヴァンパイアっていうのは、本当なんですか?」

後ろにいる白夜さんを見つめながらそう問うと、彼は見つめ返しながら、「あぁ。」と言う。

「ヴァンパイアですか…かっこいいですね。」

ふふ、と笑いながらつぶやく。

「信じるのか?」

「はい。だって、白夜さん目をそらさなかったから。」

白夜さんの目を見たら、なんだか普通に信じたくなってしまう。

それから白夜さんは黙ってしまった。

わたしもつられて黙ってしまう。

すると、衿哉さんが帰ってくる。

「遅くなってごめんねー。救急箱なんて僕たち使わないからさぁ。」

手当てされながら、頭の中を整理する。

衿哉さん、白夜さん、そしてもう一人…彼らは優しいヴァンパイア。

わたしは普通の人とは違うらしく…。

「よしっ、これで大丈夫。」

手当てされたわたしの手をポンポンと叩きながら、にっこり笑う衿哉さん。

「あ、ありがとうございます。」

「これからは、友達なんだから、敬語は禁止で。」

「へ…?」

と、友達…。
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