一人遊び転じて、君を抱く
「現実は、一人で成り立つものじゃない」
「夢とて、何かしらのモノはいよう?」
「ああ。今は起きたくて、仕方がないよ」
嫌味混じりに言っても、奴は笑みを崩さない。
「ならば、君の望み通りに起こそうかね」
手のひらを軽く振ったかと思えば、奴の前――そうして私の前でもあるそこに、一人の男が立っていた。
手にはナイフ。
「君は、傷つくことが好きなようだから」
趣向を凝らした奴には、拍手でもしてやりたい。
「――、クッ」
なるほど、ああ、そうきたか。
「自傷と自慰は同義語。ならば――」
一人遊びではない、二人で“する”行為となれば。