一人遊び転じて、君を抱く


現実にいながら、内へと隠る方法。知らずと進んでいた時、楽しい時はあっという間、だなんて言葉はあるが。


「楽しい、だなんて」


己を傷つける一人遊びには、不釣り合いだろう。


「そう思いたいだけだろう?」


「……」


「皆まで言わずとも分かるよ。分かってしまう。なにせそれは、“いけないこと”だ」


どちらの一人遊びでも、言えること。


「全肯定など出来ぬし、行為が済んで時が経てば、『何をしているんだ』と後悔し、しかしながら、気づけばしてしまう慣習となる。

その繰り返し。だからこその、一人遊び。誰にも、“している”と悟らせてはいけない」


「誰もがしていることだろうに」


失笑する。
誰だってしていることでも、隠さなければいけないだなんて。


体裁を気にするならば致し方がない、それが“現実を生きるマナー”だから。


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