キラリ
「日曜日の試合の話、したっけ?」


「ううん。聞いてない」


「うちの学校で試合するからさ、もし良かったら」


「うん♪観に行く。頑張ってね」



翔太と手を繋いで

他愛の無い話をしつつ、「彼氏の試合を応援しに行く健気で可愛い彼女」をさりげなくアピールしていたそのとき

吹奏楽部の演奏がぴたりと止み、それと入れ替わるように

聞き覚えのあるピアノの音が、どこからか私の耳に流れ込んできた。



思い出すまでも無い。


千明の家の前を通るときに、いつも聞こえるあの曲だ。
< 33 / 169 >

この作品をシェア

pagetop