言いなりデイズ


「あと、ちょっと…」


指先で動かす?効果が出たのか、箱は少しだけ前にでていた。


あと、もう少し前に出てくれれば両手で持てる‼


そう思い、初めて人に頼らず高いところから物が取れると思った瞬間…


「相変わらず小さいな、お前って。」


そう後ろから声が聞こえたかと思うと、両手が伸びてきて箱を軽々と持ち上げた。


「あっ!」

「遅すぎ。箱取るだけで、どれだけ時間かかってんだよ。」

「すみません…。」


だって…


救急箱ある場所、高すぎるでしょ…。


愁は既に救急箱を開け、絆創膏を探していた。


ところで、


「愁、お皿のカケラで怪我したの?」

「いや、打っただけだ。」

「打っただけで、血は出ませんよ。」


絶対にお皿のカケラで怪我したんだな。


だから、危ないって言ったのに。


あたしは愁の目の前に座り、指先の怪我をみた。


結構、血が出てるな。


まずは消毒ね。




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