FlowerRose



もしも―


もしも神様という存在があるならば

あの人の隣に居させてほしかった

あの人の一番近くで笑って居たかった


でも、それはもう出来ないんだ―



あたしの代わりにあの女の人が―



カイの隣で笑うんだ―





あたしは諦めなきゃいけないんだ


ねえ、神様?



どうしてあたしとカイを出会わせたの?


叶わない恋ならば―



出会わない方が良かった―



あの笑顔を知らない方が良かった―





叶わぬ愛ならば―――




















「………ん?」

「目、覚めた?」


ゆっくりと目を開けて、声のした方へ顔を向けるとそこにはパイプ椅子に座る修人の姿があった



「あ…たし…?」

「あっ!動かないで!まだ安静にしてて!」

「……はい…」

「…ここは保健室 英子倒れてたんだぞ!」

「…え…じゃあ修人がここまで…」

「それは―」



ガラガラッ



「英子!!」

「「!!」」


豪快にドアを開けて入って来たのは、あたしの愛しい人の姿だった


「倒れたって聞いたけど、大丈夫なのか!?」

「先輩!英子は病人です!」



修人が声を荒げて言った



「あ…ああ…分かった…」


「……自分はさんざん邪魔するなって言っといて……最低な人ですね」


修人は冷たい目でカイを見て、パイプ椅子から立ち上がった


「…え?」

「交代です どうせ、英子と二人で話したいとかどうとか言うんでしょう」

「お前…いつの間にそんなに大人びたんだよ…」



カイの問い掛けに修人は微笑して言った



「つい、最近ですよ」



そして保健室を後にした

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