お腹が空きました。
それでも頭によぎるのはあの華奢な手足。
折れるんじゃないかっていうぐらい細い首。
くっきりした鎖骨。
顔なんて全然覚えていない。
紗耶はまたデスクに右頬を擦り付け、自分のお腹に手をやる。
ぽっちゃりまでいかないながらも、つまめる事は確実。
自然とため息が出た。
ベシッ!
頭部に感じる衝撃とカサッと聞こえた紙の音。
こわごわ顔を上げれば、
「室内、仕事中。」
すぐ上の上司、杉崎がギロリと睨んでいた。
ふわりと内蔵を刺激する香りが鼻をかすめる。
頭に乗ったままの書類を素早く机に置き、紗耶はぺこりと頭を下げた。
「スミマセン…」
そんなセリフを聞くか聞かないかの所で杉崎はもうきびすを返し自分のデスクに戻っていっていた。
……。