お腹が空きました。
「(…手厳しい。)」
紗耶は椅子に座り直しまた溜め息をつく。
本調子が出ないまま、案の定外は真っ暗になり、残業に突入していた。
完璧な自業自得のサービス残業に紗耶は「…何やってんだろう。」と天井を仰ぐ。
会社に迷惑をかけ、上司に睨まれ、お腹は鳴り、力は出ない。
ダイエットなんていいことなしだ。
分かってる。
細くなっても良介は帰ってこないし、帰ってきてほしくもない。
悔しかった。
それだけ。
つまり、ただの意地だ。
ゴールの無い意地なんて、こんな無駄な事はない。
ないんだけども。
「気がすむまでとりあえずやらせてくれ…」
そう、とにかく、自分の気がすめばいいのだ。
「そうか。なら嫌というほどやらせてやる。」
「…っ!」