お腹が空きました。


誰って、

そんな…、


言えるわけないじゃないかー。

アハハハと紗耶は横を向いてカラ笑いをした。


「分かった!もしかして牛野さんじゃない?あの人ならやりかねないわーあんなクサイ事。」

「ぇえっ⁈ちっがうよ!」

思いもよらない名前に紗耶は目を丸くする。

しかも杉崎さん、クサイとか言われてるし。


「斉藤さん?」

「違う違う。」


「一階の松本さん?」


「ないない。」

紗耶は苦笑いしながらやんわり否定を続けた。


「あ!それより、あの人とはどうなったの?」


急に思い出したように紗耶が声を弾ませる。

由美は、はぁっ⁈と顔を赤らめながら突然ふられた話題に肩をイカらせた。

「な、何言ってんの何言ってんの‼」


「あーなんとなく上手くいってんだーふふふーん。」


「何言ってんの何言ってんの何言ってんの‼」


紗耶はヘタしたら殴りかねない剣幕の由美をなだめ、ふと考えた。


うーん、“貢ぐ”かぁ…。


そんなんじゃないんだけどなぁ。


しかし、今までいっぱい美味しいものを作ってもらったのも事実。


そうだなぁ、そうだよねぇ…。






紗耶は手元のクッキーをまたパクリと口に入れた。





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