お腹が空きました。


ぎゅっとたくましい腕に力を込められて、少し息苦しくなる。

「す、…杉崎、さん?」

「…お前。」

…っ!


耳元で直接響く色気のある声に、紗耶はどきりとした。


「“顔に似合わない”って所は否定しないのな。」


「…。」


え、と冷や汗を流して紗耶は愛想笑いを浮かべる。


しかしそれでも杉崎の腕の力は緩まなかった。




…こんな風に。

男性に力いっぱい抱き締められるなんて、初めてかもしれない。


「(…杉崎さんにまだ【好き】って言われた事ないけど、なんか…、これで充分な気がする…。)」


伝わってくる熱や、

息づかいや、

苦しいぐらいの気持ちが、


紗耶の心を満たしていた。



「杉崎さん杉崎さん。」

「…なんだ。」

ギュッと抱き締められたまま、紗耶は杉崎に尋ねる。

「まだまだ聞きたい事があるんですけど。」

「今度にしろ。今から俺は食事だ。」

そういって杉崎はカプリと紗耶の首筋に噛み付いた。



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