お腹が空きました。
「お仕事、まだかなぁ。」
紗耶はソファに腰をおろしながら時計を眺める。
金銭関係を扱っている部署なので、雑用もある新人と違って上の人はめったに残業はないのだが。
しかし時たまトラブルがあると一転。
下手をすると同じ服で次の日も仕事をしなければならない。
「今回はなんか大変そうな空気だったしなぁ。」
帰り際、ミスした本人達と上の人達でゴタゴタしていたのを紗耶は思い出す。
紗耶はぺらりと持ってきた旅雑誌をめくり、スイーツ欄を指でなぞった。
秋の和栗特集。
うっわーー
モンブランに
和栗のロールケーキ
ブリュレにプリンに栗ようかん!
紗耶は口元をぬぐいうへへへとあやしく笑う。
「今度の休みは杉崎さんと和栗のスイーツめぐりしたいなぁ…。」
そういえば今までしていなかった、スイーツめぐりデート。
杉崎さんが嫌がるようなら、変装とかしてもらって…あはは面白そう!と紗耶は目をこすりながら思い耽った。