お腹が空きました。
「お疲れ様でした。事件解決しました?」
ギリギリ今日中に帰ってきたということは、トラブルはカバー出来たということだろうか。
「…いや。それがちょっとややこしくてな。まぁ今日中に出来ることは終わらせてきたが、…後は明日次第だな。」
疲労が溜まった目頭を指で掴み、杉崎はソファに腰を沈めた。
「…。」
くるりとその後ろに周りこみ、紗耶はぐっと杉崎の肩をさする。
「わー凝ってますねー。」
「あーーー…。」
杉崎はまるで眠っている暴犬のように大きな体をぐたりと紗耶に預けた。
「軽くさするだけにしときますねー。キツくしたら次の日揉み返しがくるかもですから。」
「お前、上手いな…。」
杉崎は目を閉じ、実に気持ち良さそうにグラグラ揺れる。
「えへへーそうですか?おばあちゃんのを良く揉んでますから。」
紗耶は嬉しそうに絶妙な力を指に加えた。
「ばーちゃんも実家なのか?」
「んー二世帯住宅?隣に住んでる?になるんですかね?とにかく隣のうちに住んでます。今のアパートからちょっと遠いのでしばらく帰ってないですけどねー。」
紗耶は杉崎の首筋をさすりながら懐かしそうに微笑む。
「私おばあちゃん子なんでしょっちゅう遊びに行ってたんですよ。ここ、どうですか?」
「んぐっ…っ、そこヤベェ…っ」
肩甲骨の筋をさすると杉崎は全身の力が抜けてしまったようにダランと首を傾けた。