お腹が空きました。
「…紗耶。」
杉崎はふと箸を止め紗耶を見つめる。
「…お前、」
「はい。」
「料理出来るんだな…。」
えぇ?!と紗耶は目を丸くして動きを止めた。
「…悪かった。勝手に出来ないと思い込んでた。」
また例のごとく暗い顔をする杉崎に紗耶は慌てて手を振る。
「いや、、出来るというかっ出来ないというかっ、あの…なんで杉崎さん落ち込んでるんですかっ?」
「ん?んー…。
なんつーか、…
道に落ちてた鳥を拾って飛べるようになるまで育てようと思った矢先、
無邪気な顔して飛び立たれた、ってイメージ。」
「…んーー?」
あごに手をやる杉崎に紗耶は難しい顔をしてとりあえず考える素振りをした。
分かるような分からないような…。
紗耶はふと気が付いてこっそり笑う。やっぱり彼にとって自分はなにか動物を飼育している感覚に近いのではないかと。
「そういえば、お前普段なに作って食べてんだ?」
「へっ」
変な声を出して紗耶はがたんと椅子を鳴らした。
「あ?なんだよ。こんなうまいもん作れるんだったら、他にもなんかレパートリーあんだろ?」
目がどうしてもあらぬ方向に向く。
無意識にハードルを上げる杉崎に紗耶は汗を凍らせながら言葉を探した。