お腹が空きました。


「おい。いったん手止めて、集合。」

そう低い声が聞こえて。

いつも部署朝礼に集まるオフィスの入り口付近に駆け寄り、紗耶は由美の隣に静かに並んだ。

部長の隣に杉崎さん。

いつもと変わらないお仕事フェイスをチラリと見て、紗耶は声を張る部長に向き直った。

「今回の件、もう耳に入ってる者もいると思うが、筆頭株主の…」

つらつらと部長の説明とお叱りが続く。

部長の口から難しい単語が並ぶが、結局ミスが重なってしまった相手が会社にとって結構大事な人のお嬢さんだったそうで。

部長と係長と、ミスした本人とで今日改めて謝罪と説明に向かうのだそうだ。

紗耶達は残りの仕事を任され、自然と背筋を伸ばした。

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