お腹が空きました。
「はい、…では。」
ピ、と携帯のボタンを押す音が右から聞こえる。
はぁーーと大きなため息をつきながら、紗耶は背中を丸めた。
あーー焦った焦った。
まだ少しドキドキしている心臓をなだめ頬に手をあてている紗耶に、
「紗耶。」
「はいなんで…ふ、っ」
ぐいっと引かれた肩と。
「…っ」
熱くてどうしようもない唇に。
「…っ、」
「…まぁ、これぐらいで勘弁してやるか。」
「す、杉崎さっ……」
「……ん、やっぱりもう少し。」
「ふっ……っ」
紗耶は再発した頬の熱とは逆に、出かけた言葉は引っ込めるしかなかった。