お腹が空きました。
「ふふっ、料理うまい人のセリフとは思えないですね。」
そういって二人でケタケタ笑う。
だってそうなのだ。
料理なら、きっちり手順を踏める杉崎なのに、家のパソコンになると「ん?」と説明書も読まずポンっとキーを適当に叩く。
まるで子供みたい。
冒険しまくりだ。
紗耶はマフラーを巻き直してまた杉崎の袖を掴もうとしたが、今度はその手をパシッと握られた。
杉崎の手は少し冷たかったが、すぐにじんわり暖かくなって。
「苦手って鼻っから思ってしまってるのもあるし…まぁ、あれだな、仕事以外だと甘えが出るんだろうな。姉貴とか牛野とか俺の周り機械に強い奴多いから。」
「へへ、」
「ん?なんだ?」
「なんでもないですよ。」
紗耶は嬉しそうに杉崎を見上げて微笑んだ。