お腹が空きました。



「キャーっ!マウンテンモンブラン‼︎」

やはり雑誌でみるよりこうしてめのまえで香りを楽しみながら眺めると最高。

栗まんじゅう、和栗のロールケーキと来て三軒目。

杉崎のお祝いのはずなのにすでに1番はしゃいでしまってる紗耶を見て杉崎はこっそりと笑う。


「今日はやけに栗で攻めるんだな。」

「栗は今しか食べられない感じ、しません?」

旬ものですよ旬もの、とカシャカシャ携帯で写真を真剣に撮りながら紗耶は杉崎に言った。

山のようにとんがったモンブランの麓にカラメルとあえて宝石のように光る栗。

粉砂糖がキラキラ降り積もる雪のようだ。

はぁと幸せなため息をつきながら右手にスプーンを持つ。

一品につき二口だけでいいという杉崎に甘えて紗耶は山の一角をすくい、パクリと口に入れた。

「…おいしーっっ‼︎」

なめらかなマロンクリームに濃厚な生クリーム、トロンとしたカスタードにころころの甘い栗。

紗耶は満面の笑みをたたえながらマウンテンモンブランを堪能した。


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