お腹が空きました。

「本当美味しいっ!杉崎さんホントに二口だけでいいんですか?」

申し訳なさそうに尋ねる紗耶に、杉崎は頷く。

「甘いもんは好きだが、量は食えねぇからな。」

「…あの、やっぱりこれでやめときますか?なんだか杉崎さんより私の方が喜んじゃってるような…」

「あ?食べ比べは面白い。今までこんなこと出来なかったからな。そんなん気にせず食え。」

それに、と、杉崎はふいに甘い顔になり。

「紗耶が喜んでるならそれでいい。」

「………さ、い、ですか……。」

かァァと頬を染め、妙な位置でスプーンを止めながら紗耶は下を向いた。

この人、時々なんか凄いこと言う…っ。

もぐもぐもぐと食べ進めながら、紗耶はあれこれと話題を変える。

「んぐんぐ…っ、でもあれですね。新しいところ行ったらまた1からその部署のパソコンシステム覚えないとですね。」

「そうだな…。まぁ、仕事だと思えばすぐだろ。今のところもそんな感じで覚えたし。」

「なんで家だとクラッシャーなんですかねー杉崎さんは。」

「さぁ。仕事じゃないからじゃねえか?」

「そういうもんなんですかね?」

「そういうもんだ。」

頬杖をつきながら杉崎は穏やかにそう答えた。

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