お腹が空きました。
一瞬目を見開き、優子はヘラッと笑う紗耶を見つめる。
しかしまたまつ毛を伏せて下を向き、ぼそりとこぼした。
「…でも、私嫉妬深いし…。」
「全然可愛いよ!嫉妬してくれてる内が花だっていとこのお兄ちゃんも言ってたし!」
「重いし…。」
「軽いよりいいよ!それだけ真剣って事だよ!」
「最近全然食べれなかったし…。」
「…あら、あ、今お腹空いてる?」
「……少しだけ。」
「じゃあお腹いっぱいになるまで食べよ!お腹すくとなんだか悲しくなるからね。ね。」
「…フフ。」
「?」
首を傾げる紗耶に優子は緊張の糸が緩んだように初めて笑顔を見せる。
それは可憐な花がフワッと咲くようでとても可愛らしかった。
「…あ、いえ…フフ。室内さん私より身長も低いし、幼く見えるのに、なんだか年上のように話されるので。」
「え、えぇ?あれ、一応年上なんだけどな。」
クスクスとふたりで笑い合い、紗耶は店員にメニューを次々と注文する。
優子はそのおびただしい量に慌てて紗耶を止めた。
「あの、私そんなに食べれません。」
「え!あ、今注文したの全部私の。」
えっ!と驚愕する優子に紗耶は、ああ、あははと頭を掻いてメニュー表を閉じる。
しまった、調子に乗り過ぎた。
店員に謝りつつ何個かキャンセルして、紗耶はリラックスしたように優子に質問した。