お腹が空きました。


はぁーーーッ!疲れた‼︎

紗耶はグーっと伸びをしながら夜道を一人歩く。

なんて日だったんだ。や、でも仲直り出来て良かった…。あーパン食べたい。などと思いながら紗耶はふと空を見上げた。

数える程度の星と小さな小さな飛行機が、ビルの間を薄く飾る。

「(…杉崎さんはそろそろ空港に到着する頃かな?)」


フランスで生活するって、どんな感じなんだろう。

ここよりも寒いんだろうか。


食べ物やお水は身体にあうのだろうか。


「…、杉崎さん…。」

…早く、帰って来ないかな。


早速寂しさに襲われながら、紗耶は駅までとぼとぼ帰った。











pppppppppp…


「…ふぐっ?」


その日の晩、食パン一斤まるまる頬張りながらテレビを見ていると、意外な人から着信が入ってきた。


「んぐんぐ…ふぐ、ふぁい。」

「…え、もしかして何か食べてる…?」


「んぐ、………いえ、今呑み込みました。どうしたんですか、珍しいですね牛野さん。」

牛野から電話が来るなんて本当に珍しい。

何故なら用事がないからである。

「なにかあったんですか?」

「……あー、うんと。…、それがさ…。」



ん…?




歯切れが悪い牛野に、


紗耶は少し嫌な予感がした。










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