お腹が空きました。
はぁーーーッ!疲れた‼︎
紗耶はグーっと伸びをしながら夜道を一人歩く。
なんて日だったんだ。や、でも仲直り出来て良かった…。あーパン食べたい。などと思いながら紗耶はふと空を見上げた。
数える程度の星と小さな小さな飛行機が、ビルの間を薄く飾る。
「(…杉崎さんはそろそろ空港に到着する頃かな?)」
フランスで生活するって、どんな感じなんだろう。
ここよりも寒いんだろうか。
食べ物やお水は身体にあうのだろうか。
「…、杉崎さん…。」
…早く、帰って来ないかな。
早速寂しさに襲われながら、紗耶は駅までとぼとぼ帰った。
◆
pppppppppp…
「…ふぐっ?」
その日の晩、食パン一斤まるまる頬張りながらテレビを見ていると、意外な人から着信が入ってきた。
「んぐんぐ…ふぐ、ふぁい。」
「…え、もしかして何か食べてる…?」
「んぐ、………いえ、今呑み込みました。どうしたんですか、珍しいですね牛野さん。」
牛野から電話が来るなんて本当に珍しい。
何故なら用事がないからである。
「なにかあったんですか?」
「……あー、うんと。…、それがさ…。」
ん…?
歯切れが悪い牛野に、
紗耶は少し嫌な予感がした。