お腹が空きました。


…なんたる誤解!

あわわわとパンくずを口の端にくっつけながら紗耶は震える。

何故わざわざ良介なんかに抱きつかねばならないんだ!


紗耶は一仕切りうおおぉと悶えた後、とりあえず思いもしなかった誤解を解こうとメールを作成し始めた。


「……と、い う わ け で、全 然 ま っ たくそ んな こと は あ …り ま せ ん、と。」


紗耶はもう一度今打ったメール文を読み返し、んんんエイッと送信ボタンを押す。


これで、大丈夫なはず。


…うん、大丈夫。…大、丈夫。



そう自分に言い聞かせ、紗耶はゴロンとベットに転がった。が。


…5分後。



「…。」


15分後。


「…っ、…。」






……1時間後。


「っっ返事なし…っ‼︎」


とうとう紗耶はベッドの上でバタバタ水泳でもするかのように暴れだす。

しばらくうつ伏せで息を止めていたが、紗耶は急にガバッと上半身を起こし携帯を開いた。




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