お腹が空きました。





薄暗い帰り道。

とうとう今日も鳴らなかった携帯をコートのポケットに突っ込みながら紗耶は放心状態で道を行く。

マジか……。


お、怒っているのだろうか。

完璧に誤解されてて、

言い訳も通用しないぐらい軽蔑されてしまったのだろうか。

それとも向こうの生活に夢中で携帯…というか私のことなど、どうでもよくなっているのだろうか。

それとも嫌いに、

「…ず、」

嫌いに、…なってしまったんだろうか。


紗耶は人知れず鼻をすすった。


携帯電話って時々酷く不便なものに感じる。
こんなにも人の気持ちを遠くに感じるものって他にない。

でも手放せないのは、やっぱりまだどこかで期待しているから。

「寒くなったな…。」


横殴りの冷たい風に、紗耶は懸命にコートを中心に手繰り寄せ、フラフラと歩く。






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