お腹が空きました。
す、
杉崎さん携帯忘れて行ってるーーーっ‼︎
紗耶はキッチンの壁に手を着きながら心の中で絶叫する。
ピカ、ピカ、と可愛く光る携帯の点滅に、紗耶はズルズルと力なく膝をついた。
ま、
マジかあぁぁぁぁ…
「…そりゃ、返事来ませんよねー…。」
キッチンの上の台にポツンと置かれた黒いそれ。
紗耶はゆっくりと立ち上がり、ポリポリと頭をかく。
なんとなく、紗耶は自分の携帯で「あ」とだけ打ち込んで送信してみた。
ピロリロリン
「…だよね、そうなるよね。」
また目の前の黒い携帯が軽やかに受信する。
なんだ…。
杉崎さん、読んでないのか。
多分荷物を取りに来た時にわすれたんだな…。
紗耶はアハハとカラ笑いしながら、気が抜けたように机に座り直した。
なんだぁ、そっかぁ、読んでないのか…。
今、何送っても、杉崎さんには読めないのかぁ…。
「…。」
しばらく黙った後、紗耶は一人、携帯をタップする。
ピロリロリン
『杉崎さん、携帯忘れてますよー。日本に。』
ピロリロリン
『杉崎さんの……おバカーっ』
ピロリロリン
『すいません、嘘です。』
「はぁ、なにやってるんだろう私…。」
100%返事の来ないメールをイタズラに送信し、紗耶は机にだらりと突っ伏した。
「おーい…、杉崎さー…ん…。」
ピロリロリン
『早く帰って来て下さい…。』