お腹が空きました。
◆
「牛野さーん、外線2番に電話ですー。」
「はいはーい。」
紗耶は今日もなんとかパソコンに向かいながら、仕事をこなす。
杉崎が海外に飛び立ってとうとう三日。
…明日、明日だ。
明日になったら、杉崎さんは帰ってくる。
そう自分に言い聞かせ、紗耶はぬんっと袖をまくりあげた。
…帰ってきたら、まず誤解を解いて、お土産話を聞いて、お菓子食べて、それで…
それで…
……。
カタ…っと、紗耶は指を止める。
…笑って、話を聞いてくれるだろうか。
何不貞腐れてんだよって…、大きな手で頭をくしゃくしゃと触ってくれるだろうか。
ふと顔を曇らす紗耶の耳にまた隣の部署の声が聞こえてきた。
「牛野さーん、また電話でーす。外線3番。」
「はいはー…外線3?誰から?」
牛野は電話を取るためにガタリと前のめりになりながら訝しげに訪ねる。
外線3番は社員しか番号を知らないからだ。
「杉崎さんです。」
………えっ‼︎
タンっとエンターキーを叩きながら、紗耶は心の中で叫んだ。
え、
えっ
杉崎さんって杉崎さん?!
杉崎さん?!
なんで会社に?!なんで牛野さんに?!
紗耶はおおいにうろたえながらバサッと書類を落とす。
すきません…っと周りに謝りながら、紗耶は机の下から顔だけ上げて牛野の方をチラりと見つめた。