お腹が空きました。
…
…気まずい。
お互い無言のまま、目の前のアイスコーヒーだけがカランと音を立てる。
『…でも、』
『時間は取らせない。…少し話がしたいんだ。』
『…。』
…正直、話なんてこっちはしたくない。
したくないけど、あんまり良介が真剣な顔で言うから、紗耶は少しうつむいた後、小さく頷いたのだ。
近くのファミレスへ重い足を運ぶ。
こんな重たい空気、別れる時すら感じていなかった。
なんだろう。今更。
「(私達、あんな形で別れたのにな…。)」
紗耶は自分の心の声に更に落ち込みながら、ちょっと恋愛って虚しいな、と思った。
恋愛って、虚しい。
あんなに好きだったのに、なんだろう。
今自分はこんな冷えた心で彼を見つめている。