お腹が空きました。


ちょっと、恨んだ。


いや、ちょっとどころじゃない。


ドロドロだった。


心が粘着質な汚いものでドロドロだった。


それが嫌で、フタをした。


だから、本人を見ても、そんなに腹が立たない。

こんなに近くにいるのに、まるで遠くから彼を見ているみたいだった。



「…ごめん。」


ぽつんと落とすように呟いた彼をゆっくりと見上げた。


「…どれに対しての“ごめん”?」


「いや、なんてゆーか、色々…。」


「留学は、嘘なの?」


「や、嘘っていうか、一瞬は考えたっていうか、…ごめん、やっぱり、嘘…に、なると思う、」




しどろもどろに良介は喋る。 


目も机を見たり横を見たりせわしない。




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