お腹が空きました。
紗耶は顔を渋らせて腕組みをしてみせる。


その様子を見て、亜栗はおかしそうに笑った。


「会社でそんな感じなんだあの子…ぶくくっ。あ、じゃなくてね。自分の見た目にそぐわないような事、格好つけて全然しないでしょ。…中学入ったらケーキ作りも止めちゃったしね…。」


「…え?」


バタンっ


「コラっ店の責任者!お前のメレンゲ旦那がわたわたしてるぞ!」



閉まったはずの扉がまた開き、中から杉崎の怒鳴り声がこだました。



メレンゲ旦那ってなんだ?


「はーい」

と、亜栗は返事を返し、残りの荷物をかかえながら紗耶の腕もついでに引っ張った。


「どうぞどうぞ!狭いけど入って。」



「お。おじゃまします!」





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