お腹が空きました。


わぁ。

ケーキ屋さんの厨房ってこんな感じなんだ…。

紗耶はほぅ…とため息をつきながら辺りを見渡した。

家族経営なだけあって少々狭いが、とっても整理整頓されていて大事に使われている事がよく分かる。

厨房のとなりの自宅へと繋がっている扉へ案内され、紗耶は亜栗にぺこりと頭を下げながら階段を上った。




……


「すいません色々…、お茶まで出していただいちゃって…。」

「いいのいいの!こっちが無理矢理連れてきたみたいなもんだし、逆にごめんね!」

いえいえいえ…と紗耶は遠慮がちに紅茶に口を付けた。

「あの、ところで杉崎さんは…?」

先に入ったはずの杉崎の姿が見当たらない。

紗耶は心もとなさげにキョロキョロと周りを見渡した。

そんな様子をみて亜栗がクスリと笑う。


「いっちゃんはね、たぶん下で私の旦那さんに泣き付かれてると思うよ。」


「…?」




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