お腹が空きました。

え？と、紗耶が振り返ると、奥の扉から欠伸をしながら高校生ぐらいの小さい男の子が入ってきた。

その後ろから、ぬっ、と長細い男の子も入ってくる。



あ、あの子。


紗耶は大きい方の男の子を見て、思い出した。


あの時のシャッターの子だ。



「なに？あなたたちまだ着替えてなかったの？」


どうやらお店の制服らしいソムリエエプロン姿の二人に亜栗はため息をついた。


…あれ？


やんちゃで可愛い容姿をした小さい方をマジマジと見て、紗耶は驚愕する。


髪型は違うけど…あの雰囲気、あの顔は…



「小さい杉崎さんだ…！！」


「…あﾞぁ？」


ギロリと睨みながら“小さい杉崎さん”が紗耶に唇を尖らす。


うわわわ、本当に杉崎さんだ…っ


ガンの飛ばし方までそっくりだが、いかんせん幼い容姿の為イマイチ迫力がでない。


亜栗は慌てて二人の間に入りながら笑顔で紗耶に紹介した。


「紗耶ちゃん、こちら弟の杉崎桃汰〈ももた〉大学生。んでこっちが桃汰の友達でバイトの譲原琥太朗〈ゆずはらこたろう〉君。」


「だ、大学生。」


「…あれ？もしかして俺喧嘩売られてる…？」

頭に怒りマークをくっつけながら桃汰はバキバキと指を鳴らした。