恋……スル?-菅野 聡 編-
「…やだなぁ、何言ってんですか。
私なんて、自分に余裕も感じないような奴なんですよっ」



「…梅津?」



仕事でお客さんに喜ばれるものを作るのは、当たり前!

だって、それがここの仕事なんだもんね。


だけど、私は専務に認められるような1人の女ではない。



「あれから30秒以内出社、できませんでした。
今日も遅刻、すみませーん」



「…お前、それ反省して言ってんのか?」



「してますよーっ
だから明日はちゃんと時間厳守で出勤できるように、専務にお願いがあるんです!」



「何だ?」



「朝寝坊して遅刻にならないように、夜は定時であがらせて下さーい」



さっきまでの専務の顔は、もうそこになかった。


むしろ、みるみると眉間に寄せられたシワが数を増やしていってる。


これは…来るぞ!



「バカもーん!!
だったらつまらん事を言ってないで、さっさと仕事を始めんかー!!」



「ひゃーっ
ただいまですーっ」



オフィスの方へのドアを開けると、クスクスと笑うスタッフのみんなが目に映った。


さすがに専務の「バカもーん」は、ドアを閉めてても聞こえちゃうよね。








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