複雑な感情、365日。


「遠藤、
君は俺に恨みでもあるのか」

直球すぎ。

まああるっちゃいっぱいあるけど

「特には」

と嘘を吐いた。

「嘘だろ」

するとじっと見つめられ
すぐに見破られた。

お前はエスパーか何かか。

「まあ嘘ですけど」

ここは正直にいこう。
うん、それが一番いい。

「何だ、言ってみろ」

「えっと、まず暴力とか」

「・・・・・・」

「表と裏がありそうなとことか」

「・・・・・・」

「その他は細かいですけど・・・」

高橋は黙って聞いていた。

いつもの笑顔がなく、
真剣なのだろうが無表情で
どことなく怖かった。

ふと、その柔らかそうな口を開け

「そうか・・・」

とだけ呟いた。

また、沈黙が流れた。

早くにはもう蝉が鳴いている。

数十秒後、
耐えきれなくなったあたしが
口を開こうとした瞬間―――
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