わたしのピンクの錠剤
ベッドの中
ベッドの中
ベッドの中
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その言葉に激しく反応し、
私の身体は震えだした。
すぐにおかしいと感じた。
いつもの達哉じゃない。
どこが違う?と聞かれても、何となく、としか答えようがない。
でも、間違いなく目の前の達哉は達哉じゃなかった。
「あなた、哀哉なの?」
私はベッドから抜け出した。
「なに変なこと、言ってんだい。俺は哀哉なんかじゃないよ」
達哉は哀哉のことをこんな風には言わない。
私は哀哉だと確信した。
「どういうつもりなの。私はあなたと結婚したんじゃない。達哉と結婚したのよ」
「落ち着けよ。俺は哀哉じゃないって・・・」
あくまで哀哉じゃないと偽物の達哉は言い張る。
その時、達哉の視線の焦点が、私の瞳の表面から瞳の奥へと移った。
全てを見透かすようなこの感じ。
哀哉から達哉に変わった瞬間だった。
私はほっとしたと同時に涙があふれてきた。
「ひどい、非道い。どうして・・」
私は達哉の胸を両手で叩いた。
「すまない」
達哉は包み込むように私を抱きしめる。
それはあくまでも優しい達哉。
でも、私にはその取り繕うような優しさが不安でたまらなかった。