わたしのピンクの錠剤
 
その日、親父は酔っぱらっていた。

それでも忘れることなく、おやすみのキスをする。


でも、その日、わたしの精神状態は最悪で、その酒臭い絆は苦痛でしかなかった。

親父に触られることが死ぬほど嫌でたまらなかった。



そこまでは覚えている。


でも、それから急に電気を消したように目の前が真っ暗になった。

そして、ふっと記憶が途切れた。






 
気付くと、左の頬が熱く、しびれたようにジンジンしている。

思い出したように親父が視野に戻り、ハッと我に返った。


 
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