幸せまでの距離
上はロングTシャツ、下はスウェッ トというメイの軽装。

リクが近付くと、メイの髪から風呂 上がりだとわかるシャンプーの匂い がした。

リクは高鳴る胸でスーツを脱ぎ、

「夜中にそんな薄着でいたら風邪ひ くって」

と、メイの肩にそっとそれを羽織ら せた。

だが、メイは自分の足元にいる白猫 親子に夢中で、リクが背後に近付い ていることに全く気付いておらず、

「……いやっ!!」

目の前の出来事を脳で理解するより 先に、体が反応した。

メイの記憶にはっきり植え付けられ たもの。

しゃがんでいる時に背後から殴られ たり、タバコの火を押し付けられた 過去……。

相手がリクだと認識できず、リクの スーツが体に触れた瞬間、長年母親 にされてきたことがフラッシュバッ クした。

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