幸せまでの距離
メイは今夜、メグルの家に泊まるこ とになった。

最初はそんな予定ではなく、メグル の祖父であり保護者でもある一郎に 柿をもらいに来ただけなので、泊ま るだなんて急な話だと思ったが、

「リク君あさってまで合宿あって帰 らないんだよね?

だったら久しぶりに泊まっていきな よ。あたしも明日休みだしさぁ」

というメグルの誘いに、応じること にしたのだ。

昨夜リクに変なところを見られたと 思うと、気まずくてリクに連絡でき なかった。

ミズキがフォローしてくれたみたい だが、リクがどう受け止めているの かまでは分からない。

「メイちゃん。元気そうで何より じゃ」

一郎の言葉にはメイを気遣う心が見 え隠れしていて、それが嬉しかった というのもあるし、メグルもメグル で元気がないようなので、メイは結 局泊まることにしたのだった。

昼間、自宅の庭で作ったという柿を 一郎から受け取った後、夕食までに はまだ時間があるということで、今 は亡きメグルの祖母・清(きよ)の 墓参りをしに行った。

清は、メイに愛を教えてくれた人。

血のつながりにこだわらず、メイを 支えてくれた唯一の大人。

清がいてくれたから、メイは星崎家 の養子になる決意ができたようなも のだ。

オレンジから紫のグラデーションが かかった空。

“ばあちゃん。私、これからどうな るんだろう。

これからも見守っててくれる?”

メグルと肩を並べて墓前に手を合わ せると、滝川家に戻り夕食をすませ た。

清のいない食卓はガランとして寂し くもあったが、一郎とメグルの話し 声は以前のままに明るいもので、メ イはそれに安堵(あんど)する。
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