幸せまでの距離
二人は隣同士に座ったまま、長い静 寂の時を過ごした。

メイは無心状態でカーテンのかかっ た窓を見つめている。

メグルは横顔だけでメイを見やり、 彼女に言うべきことを考えていた。

軽々しいことは言えないけれど、何 も言わずに済ませたくはない。メイ にはリクの支えが必要だと思ってい るから。

「……リク君に、本当のこと話して みなよ」

考えに考えて出たメグルの言葉。

「本当のこと」とは、メイがリクに 話していないこと全てを指してい る。

「は? 正気? 言えるわけない じゃん……」

メイは取り乱した。

顔には出ていないが、声には動揺が 表れている。

「『話したら受け入れてくれるよ』 みたいな、夢心地なこと言う気?」

「メイ、怒らないで? 悪気はない よ!

リク君ならきっと、メイの心と真っ 正面から向き合ってくれると思った から……。

それに……。先のことは分からない けど、大切な人の手、自分から離し たらダメだよ。

そんなの悲しいから……」

メグルは、最近自分が失恋で受けた 痛みや寂しさを、メイに味わってほ しくなかったのだった。
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