幸せまでの距離
メイには結婚願望がない。

いつまでも若くいられるわけではな いと、知っている。

いつか誰かと婚姻関係を結ばなくて はならない現実が来ることも……。

だが、どういう方向から未来を想像 してみても、孤独に過ごす自分の姿 しか思い浮かばない。

「ミズキもお母さんも、お父さん も、もちろんメグルのばあちゃんと じいちゃんも、みんな良くしてくれ る。

私なんかを養子にしてくれたり、 リョウのことも責めずにいてくれ て。

でも、私の中にはあの女の血が流れ てる。一緒に過ごした時間が刻まれ てて、消したくても消えてくれない んだ。

……昨日だって、リクはただ上着を 肩にかけてくれただけなのに、ビ ビって混乱した。アホみたい……」

メイは昨夜の出来事をメグルに話し た。

メグルは黙って相槌(あいづち)を 打つ。

「リクも驚いただろうね。あんな 私、初めて見ただろうし……。

結婚なんかしたら、一生そんな生活 をしなきゃならないんだよ。ごめん だよ、そんなの。

っていうか、男と二人きりで同じ家 に住むなんて無理」

最後の方、メイは荒(すさ)んだ目 をしていた。

< 162 / 777 >

この作品をシェア

pagetop