幸せまでの距離


あと数秒で自動的に切れてしまう かもしれない電話。

焦る中、携帯できる充電器を買っ ておけばよかった、と、リクは後 悔した。

『……わかった。手短に言う』

「……!!」

自分の言葉は、メイに届いてい た!

電話の向こうには、いつものメイ がいる。

感動で泣きそうになったリクを、 メイは言葉の刃でいとも簡単に貫 いた。

『あんたにつきまとわれるの、い い加減うんざりなんだ』

「…………え?」

衝撃のあまり、リクは電話を取り 落としそうになる。

「つきまとうって、俺、そんなつ もり……」

“俺達、両想いじゃなかった の?”

言いたい言葉は喉元で止まってし まい、それ以上紡ぐことはできな かった。

『あんたは両想いって思ってるか もしれないけど、それが何だって いうの?

私と関わって、あんたに何の得が あるの?

楽しい? 嬉しい? 幸せ?』
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