幸せまでの距離

《人は死んだら星にな る》

どこかで聞いたフレーズ と、満月のそばで輝いて いる無数の星をリンクさ せてみた。

今なら迷わず星になれ る、と、メイは思っ た……。

リョウが亡くなった時。

清が病に蝕(むしば)ま れて人生を終えた時。

命の尊さが身にしみたは ずだったのに――。

メイはいま、どうしよう もなく死にたい気持ちに なっていた。

生きていたら、必ずま た、この汚い感情に支配 される。

自分に近付く人間を、無 意味に傷つけ遠ざけてし まう。

それと同時に自分のこと もズタズタに傷つけ、 崖っぷちまで追い込んで しまう。

メイの苦悩は尽きなかっ た。

リクのように、困ってい る他者に思いやりを示せ ないことの苦しみ。

マナとは異なる恋愛観に 悲観し、絶望で胸を砕か れる恐怖。

ミズキに対して疎外感を 感じてしまう、孤独感。

過去を忘れたいのに、い つまでも引きずって生き ていかねばならないのだ ろうか、という、焦り。

それらは光の速さでメイ の精神をかきまわし、崩 壊させていく。
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