幸せまでの距離

幼い頃のメイはそれを虐待と思わなかったかもしれないが、実の父親には性的な虐待を受けていたメイ。

母親には、父親との仲の良さを妬(ねた)まれ罵倒され続けた。

前の傷が癒えぬうちに真新しい傷をつけられる生活……。


心の傷は簡単には治らないし、子供の心は特にそうだ。

夢に見るほど深いトラウマになっていたとしても、おかしくはない。


やはり、メイを精神科に連れて行って心の治療をしてもらった方がいいのではないか……。

メイのいない時、ミズキは両親とそういう話し合いをしていた。

単身赴任をしている父·星崎大成(ほしざき·たいせい)も、メイが星崎家の娘になって以来、休日には欠かさず帰宅するようになった。

しかし、精神科医療への懸念(けねん)を捨てきれないのも事実なので、一同は迷っていた。

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