幸せまでの距離

《後悔先に立たず》

してしまったことは、あとになっ て悔やんでも取り返しがつかな い、という意味だ。

――わかっている。

もう二度と、メイには関われない のだと。

それなのに、メイが無事にメグル の家に保護されたと聞いて、リク は内心喜ばずにはいられなかっ た。

メイは、無事にメグルのそばにい る。

メイのことで一喜一憂すること が、もう、クセになっていた。

メイとは生まれた頃からの付き合 いだから、家族愛に近い感情もあ る。

年齢的に考えたら、イトコや兄弟 みたいな感覚でとらえている部分 もあったのかもしれない。

『あんたといても、私は全然幸せ じゃない』

もっとも恐れていたセリフだっ た。

メイからもらったその言葉が頭の 中でリフレインされ、リクの胸は 再び引き裂かれそうになる。

愛情を注いだ人に拒絶されるの は、こんなにも痛い。

……母親に愛されず、唯一仲良く していた父親とも生き別れること になった幼き日のメイ。

愛しい人と離れ、愛を求めても叶 わなかった彼女のこれまでの人生 を、リクは想像した。

「…………メイは、ずっとずっ と、こんな想いをしてたのか な?」

今ある自分の傷に、メイの深層心 理を重ねる。

“メイは、小さな体と幼い心で、 それに耐えてた……?”

情けないことに、自分が同じ立場 になったらとても耐えられそうに ない。

リクは深い悲しみを覚えた。
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