幸せまでの距離
短いようで長すぎる沈黙の後で、 ショウマは大きく息を吐き、
「そっかあ……」
と、天井を仰ぐと、悲しみのこ もった目をして、言った。
「想像通りだったけど、想像以上 だった」
「想像……?」
意味が分からず、リクは聞き返 す。
ショウマはカラカラに渇いたノド を潤すべく、氷で薄まったオレン ジジュースを半分ほど飲んだ。
「……メイちゃんの家庭環境。
変な言い方になるけど、俺が想像 してた通り過酷だったし、想像以 上にひどかった」
「うん……」
リクはうつむく。
「メイのこと、どうしたら助けて あげられるんだろ……。
メイとは疎遠になってた時期もあ るけど、長い付き合いなんだから それなりに分かってるつもりだ、 って、自惚れてた。
でも、それって違うと思う。
俺、メイのこと、何も知らないん だ。
メイにとっての幸せが何なの か……。
何を求めてるのか……。
ミズキちゃんはすごく優しい人だ と思うし、メイに対して親身に なってくれてる。
でも、ミズキちゃんちの養子に なったからって、メイの過去が綺 麗さっぱり清算されるわけじゃな いだろうなって……」
「……そうだな。
リクはたしかに、メイちゃんのこ とを分かってるようで分かってな い」
「……っ。だよな……。
自分でもそう思うよ」
メイの過去を知ったショウマにそ う断言され、リクはめげそうにな る。
「リク、落ち込むの早過ぎ」
ショウマは小悪魔っぽい微笑を浮 かべ、
「そうやってヘコませるために、 言いたい放題してるわけじゃない んだから」