幸せまでの距離

リクの言葉に、ショウマはさらに 疑問を重ねた。

「リクの言う通りだとして、それ は何でだと思う?

夫が不倫したとか、家族に極度の 暴力を振るう人間だったって話な ら、離婚後妻が、別れた夫に子供 を会わせたがらない気持ちもわか る。

でも、リクから話を聞いてる限 り、メイちゃんの本当の父親は、 メイちゃんを可愛がってた。

浮気をするような不誠実な男でも ない。

むしろ、メイちゃんに当たり散ら していたのは母親の方だって言う じゃん」

「うん。おじさんは優しい人だっ たよ。

メイはいつも、おじさんには甘え てた」

「そこが不思議なんだって!」

ショウマは冷静ながらも、やや語 気を強くする。

「他人のリクから見ても、メイ ちゃんが母親に虐待されてるのは 明らかだったわけじゃん。

なのに、その母親がメイちゃんを 引き取って育ててたのも、不思議 でしょうがないんだよ」

「……!」

リクは雷に打たれたかのような衝 撃を受けた。

言われてみれば、確かにその通り だ。

メイがまだ穂積家に居た頃、リク もそう疑問視していた。

「メイちゃんだって、当時はおか しいと思ったはずだよ。

自分に暴力ばっかり振るう母親な んかより、優しい父親の元に居続 けたかっただろうし。

……こんな言い方あまりしたくな いけど、メイちゃんの母親だっ て、そんなにメイちゃんのことが 嫌いなら、離婚後メイちゃんを旦 那に預けて自由の身になるってい う道もあったわけじゃん。

で、再婚でも何でもすればよかっ た話だし。

なのにそうすることもなく、まと もに育てる気もないのにメイちゃ んの親権者になって、離婚してか らもメイちゃんを手元に置いて、 暴力振るって……」
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