幸せまでの距離

それまで勢い良く話していたショ ウマが、急に口をつぐむ。

「ショウマ?」

リクは目を見張った。

ショウマの目には涙が浮かんでい る。

「そんなの、飼い殺しも同然じゃ んか……。

メイちゃん、相当つらかったと思 う……。

よく逃げ出さずに、そんな家に居 られたよ。

もし俺がメイちゃんの立場だった ら、手首切るどころじゃ済まな い。

……自殺してると思う」

弱々しい声音でそうつぶやくショ ウマを見ていたら、リクの目にも 涙がにじんできた。

「……うん。俺もそう思う」

何を考えているのか分からないと ころもあるけれど、メイは精神的 に強いのかもしれない。

リクもひしひしとそれを感じてい た。

ショウマは悲しみを紛らわすべ く、グラスに残っていたオレンジ ジュースを飲み干す。

「メイちゃんちほどひどくはな かったけど、俺も家族と打ち解け られなかった口だから、メイちゃ んの孤独が、分かる気がする」

「ショウマも……?」

訊き返しつつもリクは、入学式で のショウマの発言を思い出してい た。

家族との関係が嫌だから、大学進 学を機に一人暮らしができるよう になってせいせいしたと言ってい た、ショウマの切なげな表情 を……。
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