幸せまでの距離

たくさん泣いて落ち着いたのか、 カナデの気持ちはだいぶ軽くなっ たようだ。

メイから離れると、

「メイちゃんて意外に優しいんだ ね。

とっつきにくそうだったし、ぶっ ちゃけキツイだけのコだと思って た」

と、あっけらかんと言い放った。

「……アンタ、ブリブリするより そっちの方が似合うよ」

メイは皮肉を込めてそう返す。

「メイちゃん、ひどーい!」

これが本来のカナデなのだろう か。

トウマと関わった影響で、自分ら しさを見失っていたとでもいうの だろうか。

サバサバした彼女を見て、メイは 新境地を見たような気がした。

でも、素直になるには、まだ時間 が足りない。

メイはぶっきらぼうに、

「ほんと、不思議。

アンタのこと、ウザくて仕方な かったのに」

「私も、メイちゃんの優しさは意 外だったよぉ。

そういうコだって知ってたら、嫌 がらせなんてしなかったのに~」

「アンタね……」

キャピキャピしたカナデの言動 は、作っているのではなくデフォ ルトらしい。

メイは刺々しく、

「私が優しい? 勘違いしない で。

トウマみたいな男が嫌いなだけだ から」

と、イスから立ち上がったが、言 葉とは裏腹に、心は未知の喜びに 触れ、高揚していた。
< 317 / 777 >

この作品をシェア

pagetop