幸せまでの距離

恋愛に興味が持てないメイにとっ て、トウマを愛するカナデの気持 ちを理解するのは難しかったが、 彼女が自分の性を犠牲にした痛み には深く共感できた。

今朝ミズキにそうしてもらったよ うに、メイはカナデを抱きしめ る。

抱きしめてどうすればいいのか。

どのような言葉をかけるべきなの か。

それは全く分からなかったが、た だ、抱きしめてみた。

こうすることで人は癒されるのだ と、今のメイは身をもって体験し ている。

少し前だったら、優しさの示し方 が分からなかった。

世の中には、愛情の示し方が数え 切れないほど多くあるのかもしれ ないが、そのうちの一つを教えて くれたミズキに、メイは心から感 謝した。

カナデを抱きしめることで、メイ 自身も、自分の変化を感じた。

カナデは最初こそ驚いたようた が、しばらくの間、メイにしがみ ついて泣き続けていた。

涙声が廊下に反響している。

胸元で縮こまるカナデを見て、今 が授業中でよかったとメイは思っ た。


窓一面に見える青空は、悲しみに 暮れるカナデを包み込んでいるの だろうか?

それとも、あざ笑っているのだろ うか?
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